帝国データバンクはこのほど、全国企業対象の景気動向調査の3月分を公表した。同月の景気DI(0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.3ポイント減の46.9と、4カ月連続で悪化した。「国内景気は製造業の悪化やコスト負担増などがマイナス材料となり、一部で後退局面に入った可能性がある」(同社)。業種別では旅館・ホテルが同1.9ポイント減の42.3と、3カ月連続で悪化した。
10の業界中、4業界が悪化、5業界が改善、1業界が横ばいだった。中国景気の減速などを受け、製造が同1.3ポイント減、44.5と4カ月連続で悪化。電気機械製造、輸送用機械・器具製造など、製造の12業種全てが悪化した。
サービスは同0.2ポイント増の51.9と、4カ月ぶりに改善。15業種のうち、娯楽サービスなど7業種が改善、旅館・ホテル、飲食店など8業種が悪化した。
運輸・倉庫は同0.1ポイント減の48.1と、3カ月連続で悪化。人件費や燃料費負担が重く、一般貨物自動車運送などが悪化したが、訪日外国人観光客数の増加、ラグビーワールドカップ向け予約で旅行業や旅行代理が改善した。
10の地域別では北海道と九州が改善、ほかの8地域が悪化した。このうち北陸は同1.0ポイント減の45.3と、5カ月連続で悪化。10地域中で最大の下げ幅となった。
規模別では、大企業が前月から横ばいの49.8。中小企業が同0.3ポイント減の46.2、小規模企業が同0.2ポイント減の46.3と、それぞれ4カ月連続、3カ月連続で悪化した。
景況感に関する企業の主な声は次の通り。
「ホテル建設や改修などの案件が多い」(現在、良い、電気配線工事)。
「東京五輪に向けてホテル物件が多い」(現在、良い、配管冷暖房装置等卸売)。
「今年のラグビーW杯から五輪にかけての需要が顕在化してきた」(現在、良い、旅行代理店)。
「訪日外国人数の増加で観光業界全体が好景気」(現在、良い、一般旅行)。
「例年の半分以下の降雪で、冬の期間の仕事が激減した」(現在、悪い、旅館)。
「直近では大型ゴールデンウイーク、2020年は東京五輪が開催されるため、期待感はある」(先行き、良い、旅行代理店)。
「ラグビーワールドカップなど大イベントに引っ張られる需要増大のため、大企業でない部分にどこまでプラス要素があるかがやや不透明」(先行き、どちらでもない、旅行代理店)。